手作り石けん、作りすぎていませんか?──在庫と向き合う“やさしさ”の話

「手作り石けんを作りすぎてしまった…」
そんな経験、ありませんか?
作るのが楽しくて、香りを試したくて、
プレゼントしたくて、
ついつい増えてしまう石けんたち。
だけどある日、棚いっぱいの石けんを見て、
「これでよかったのかな?」と、
ふと立ち止まったこと・・・
恋する石けんアカデミーでは、
そんな声と、何度も出会ってきました。
この記事では、「手作り石けんの作りすぎ問題」をテーマに、
心と環境にやさしく寄り添う“循環の知恵”をお届けします。
合成の誤謬(ごびゅう)という言葉
経済学には、「合成の誤謬(ごびゅう)」
という言葉があります。
一人ひとりが“正しい”ことをしていても、
それが集まると、全体としては
逆の結果になってしまう──という考え方です。
たとえば、
ひとりが節約して
貯金を増やすのはよいこと。
でも、みんなが一斉に消費をやめてしまったら、
経済は冷えこみ、収入も減って、
かえって貯金もできなくなってしまう。
「いいこと」が、別の「困ったこと」を生む。
そんな皮肉な現象です。
この言葉は、毎日、届けてくださる
メールマガジンでその著者が
教えてくださった言葉です。
石けんづくりにも起こること
手作り石けんも、まさにそうかもしれないと、
ふと思ったのです。
楽しくて、うれしくて、
香りの組み合わせを試したくなって、
誰かの顔を思い浮かべて、つい──
どんどん作ってしまう。
自分の「好き」があふれて、
棚に、乾燥中の石けんがずらりと並ぶとき、
どこかで、問いが生まれることがあります。
「これは、本当に“やさしさ”として届いているのかな?」
お教室での、ある会話
「先生……実は、作りすぎちゃってて……」
小さな声で、少し恥ずかしそうに
そう打ち明けてくれた生徒さん。
「香りを変えたり、型を工夫したり、
プレゼントもしたいし、
でも気づいたら棚がいっぱいで……
オイルも在庫も増えてて。
自分でもちょっと、疲れてしまって」
その言葉を聞いているうちに、
わたしの中に、
ひとつの風景が浮かびました。
春に花を咲かせすぎた枝が、
夏になると静かに葉を茂らせるように、
作りすぎたことに気づいたとき、
きっと、やさしさは形を変えて
戻ってきている。
石けんづくりって、
そんな“暮らしの季節”
みたいなものなのかもしれません。
自然のリズムを思い出す
植物は、自分に必要な分だけ、水を吸います。
陽の光も、風も、まるで“遠慮”するように
受け取っているように見えます。
わたしたちの暮らしも、
そんなふうに、「ちょうどいい」があっていい。
石けんを作る時間。
誰かを思う時間。
香りを選ぶ時間──
それが、つくる、使う、わかち合うの
小さなめぐりの中にあることを、
「恋する石けん®」は大切にしています。
結びに
「やさしさ」を重ねすぎて
すこし苦しくなってしまったら──どうか、香りにそっと聞いてみてください。
「今、私は、わたしの
“ちょうどいい”を、超えてないかな?」
そんな問いが生まれたとき、
そこにはもう、やさしさが戻ってきています。
ちょっと作りすぎちゃった石けんも、
ちょっと張りきりすぎた自分も、
ぜんぶ愛おしく感じられるような
「ちょうどいい暮らし」のリズムを、
わたしたちは石けんづくりの中で
見つけていけるのだと思います。
そんな時間を、これからも一緒に
育てていきましょう。
恋する石けん入門コース
スタート月は、10月、1月、4月、7月です。
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恋する石けん®︎創始者/ボタニカルライフプランナー®︎
恋する石けんのある暮らしとボタニカルライフスタイル提案
レッスン、執筆、国立大学研究者と植物アロマ研究・商品開発実施